今の大地の集中力と制球力なら、
水畑を三振までとは言わないけど、
内野ゴロには討取れるかもしれない。
――――何なんだろうなこの感覚…。
健は恐い存在なのに、
1番打たれて嫌な存在なのに、
健が打席について嬉しいんだ。
自分を試せるこの時間が、
とても貴重に思えたんだ。
『内角低めに直球を外す』
まずは出方を見るのかな…。
この回じゃぁ他の奴等も
打ち方を変えてきてる。
馬場も四球を待った。
篠岡も無茶な走塁をした。
健もそんな出方をするのかな??
健はそのままかな??
打率10割だし…。
マウンドから見てそんなイメージは無い。
直球を内角の低めに少し外すと、
健は少し動いたけど振らなかった。
「(目が…同じだ…。)」
ずっと同じ目をして塁を狙ってる。
―――――…きっと同じ攻め方だ。
『フォークを低めに入れる』
打ってもフライ、
見逃したらストライク…
さぁどぅなるか……。
健の事だから上から丁寧に
叩くかもしれない。
―――――カキィィインッッ
「ファール!!」
「「(―――…カットしたッッ)」」
「(けっこう変化したぞ!?)」
「(流石水畑ぁカット上手ぇ~)」
「ちょっとずれてたら前飛んでたぞ;;」
「(さすがだなぁ~;;)」