「赤坂、勉強教えて!?」


「……じゃ、ここの机使って」


赤坂に言われた通りに、彼女が座ってる前の机を向かい合わせにして、俺は座ってパラパラと教科書を広げる。


正直、赤坂みたいなタイプとどう扱っていいのか分からなくて、俺は放課後に勉強を教えてくれって頼むしかなかった。


「…今日さぁ、英語の授業寝てて聞いてなかったんだよね~」


「…君の場合、中学生からやり直した方がいいと思うよ」


「……………」


これこれ…。赤坂の毒舌には、さすがの俺も毎回撃沈。


無表情で淡々と涙が出そうになる言葉を聞かされる。なんちゅー女だって言い返したいけど、それだけのボキャブラリーを持ってない事に気付いたら、余計に空しさ倍増。だから、何も言わない。ごもっともですって顔をする他にない。


「赤坂って、何でこんな時間帯まで学校で勉強するの? 予備校に行ってた方が効率良くね?」


「……ここの問い、全部違うよ。辞書、ないの?」


「辞書ぐらいあるっつ~の! 俺の質問、答えてよ」


「どこで勉強しようが私の勝手。効率のいい勉強法は全て、予備校にしかないって思わない事ね」


……今までの会話で、赤坂が俺を見る事なんで一度もない。ただ、下を向いて勉強を黙々と続ける。何だか、ハナから馬鹿にされてる気分。…実際に俺、馬鹿だけどさ。