だから、飛び出した。二人を部屋にあるものを掴んで殴り付けてね。
何だったと思う? トロフィーだよ。私が一日も学校を休まずに行った皆勤賞のトロフィー。
家族揃ってほしいって考えはなかった。ただ、穏やかな暮らしがしたかった。一人だけで良かったんだ。誰か一人だけが、私と一緒にいたいって言う人がほしかった。
家を飛び出した私が行き着いた先は、暴走族の所。
事情を話したら、特攻隊の人達の家にお世話になった。後はその族の人たちの家を泊まり歩いてた。もちろん、族の世界にも入って行ったけどね。
家に帰るのが怖かった。あんな事をして、ケロッと帰る事なんて出来るはずがなくて…悪循環な感情が体ん中を渦巻いて。
そんな生活が半年続いた時に、イトコの将ちゃんがどこをどうやって聞き出したのか、私を族から抜け出させようとした。もちろん、拒否ったけど。
本当は誰かに心配して貰った事が嬉しくて、逆に困らせた。けど、総長が私を諭して将ちゃんと一緒に帰らせた。
両親を殴った後だけに将ちゃんとも顔合わせづらかったから、気まずかったけど…何もなかったかのように話をする彼に私、深みにハマって行くのが分かってた。
将ちゃんの事が好きになったのに気付いた私は、離れようとするけど将ちゃんはそれを許してくれなかった。私がまた道を踏み外すんじゃないかって、勘違いして…。
普通じゃあり得ないぐらい、私の事を心配してた。これじゃあ、また悪循環になると思って、家を飛び出した。
行き先は当然、族。
そこしか私の居場所はなかった。そこには戸惑いながらも、また受け入れてくれた仲間や総長たち。
今度は長かった。