だって、あんな苦しそうな顔、目の当たりにしたら…これ以上、赤坂の苦しそうな顔を見るのもイヤだ。
ため息混じりで答えたら、赤坂が目を丸めて俺を見てる。
「……あのさ、君はイイ人ね、って言われて終わりそうだね。かなり損してるでしょ?」
「ぅ、うっせーよ」
痛い所を付かれ、俺は赤坂を軽く睨み付けると、少し困ったような小さな笑みを向けていた。
「…あ、赤坂?」
「参ったな…。そこまで、気付いてたなんて思わなかったよ…」
「………………」
「…私は、ずっと…ずっとずっと、将ちゃんが好きだった。将ちゃんの家族も好きだった。私も、その一員になりたかった。…いくらイトコなんでも、本当の家族になんかなれないのは分かってた」
どこか、苦しそうに喋る赤坂を見てると俺も胸の奥が苦しくなる。
そう思ってると、赤坂は俺の手を掴んだ。
何だ? って思ってたら、赤坂の今まで見た事のない笑みに俺は思わず時間が止まったように見つめた。
「…少しの間、思い出話…聞いてくれる?」
…俺は、何かに取り付いたかのように、コクコクと何度も頷いた。