俺は、言い様のない苛立ちが込み上げて来る。どうしようもないぐらいに。


何度目かの深呼吸でようやく落ち着き、自分の教室に戻るために歩き出した。


何だかなぁ~…。結構、凹んでるよな、俺。


やっぱり、フられるんだろうなぁ。…そしたら、アイツらに一万ずつ払わないとイケないんだよな…。それだけはイヤだー!!


誰もいない教室に戻った俺は、ノロノロと軽い鞄を掴んで帰ろうとした。


「……あか、さか…」


「……………悪趣味。出刃亀」


「ッ!?」


赤坂が俺の教室の扉にいたのに驚いていたら、彼女の口から発せられた言葉に息を飲んだ。


気付いたんだ…コイツ。


「君、そう言う趣味があったの?」


「………お、お前こそ、イイのかよ、妻ちゃんと…」


イヤ、良くねェだろッ!! って、突っ込みたかったけど何も言えずに視線を逸らした。


何だか、俺は赤坂にジッと見られる事に耐えられなくなって、持ってた鞄を持って彼女がいない扉から出て行った。