「勇人、お待たせっ。」













「うん♪ぢゃあ、行こっか。」













私は勇人の隣に並んで歩いた。



まぁ、確かに。端から見たら付き合ってるように見えるのかもなぁ…。





…って!!何考えているんだ私!!!














頭を1人でポカポカ叩く私を、なぜか楽しそうにカメラに収める勇人。














私は恥ずかしくて穴があったら入りたかった…。












「今日の咲変っ♪昨日はクールだったのに。」







そう。私はクールなんだ…。顔が赤やら青やらならない子なのにっ!!













勇人の前だと調子が狂う。











「で??今日はどこ行くの???」











平静を保って私は尋ねた。













「今日はね〜…



そこ!!」











勇人が指差した場所は12階建てのマンションの屋上だった。









「あっそ。」













私はつんとした表情で答えた。









「あっ、今度は冷たい…。」















だって、もう嫌なんだもん。











誰かに悲しみのどん底に落とされたり、感情を左右されるのは…。






男なんて信じないんだから。
















私達は会話もないまま屋上へ向かった。





聞こえるのは勇人の軽快なシャッター音だけだった。