「ちょっ、ちょっと〜!!どこに行くのよ〜?!?!」













「ん〜??行き先は〜…














写真館!!」












また笑窪を作り、ますます力強く私の手を握って勇人のペースに巻き込むのだった。















20分くらい歩くと、葉に張り巡らされたレトロちっくな小さな写真館に着いた。








入場料は無料で、私を引っ張りズイズイ中へ入って行く。












さすが平日。写真館だから(?)か、中はガラガラに空き、見渡すと老夫婦1ペアが居たぐらいだった。
















「ほら、見てごらん。



写真は止まってるのに、生きてるみたいだろ??


写真は、その時の風景や人物を最高なビジョンなままで残してくれるんだ。


ずっとずっと鮮明に…。人の心はすぐ忘れてしまうけど、こうやって目に見える形で生き続けてくれるんだよ。






僕は、人に元気や暖かな心を与えられるような写真を撮りたい。







僕が咲を初めて撮った時、すっげ〜悔しそうな顔してたんだ。生きてるって顔してた!!




最高なビジョンを撮るには、咲が必要なんだ。」














勇人は目が宝石のようにキラキラ輝いていた。



無性に羨ましかった。











面と向かって『必要だ。』なんて言われたのは初めてで、なんだかこしょばかった。








あの時の私は、きっと太陽みたいに真っ赤だったろうな…。











「…ぢゃぁ、撮ってよ。私の最高のビジョン!!」








初めて勇人の前で、いや、男の前で微笑んだ。







勇人って変なやつ…。









そうやって私達の写真ライフが始まった。