私はいつものように、春には満開に花開く桜並木の下を歩いてた。




今は金木犀の香りがする。いい臭い。



ほのかに香る臭いを辿っていると、ポーって昔の事を考えてた。













あの日は、蝉がミンミン鳴いてたなぁ…。














お母さんに買い物に連れてかれ、デパートへ向かう途中、小さなカフェテリアを過ぎろうとした時、お父さんを見つけた。






隣に居るのは誰???綺麗な女の人。楽しそうに笑ってる。







次の瞬間目の前が暗闇に包まれた。







お母さんのひんやり冷たい手が、小刻みに震えながら私の瞼を覆ったのだ。








きっと泣いてたんだろうなぁ…。











そんな事を不意に思い出し、悔しくなって歯を食いしばった。











カシャッ。












「ん???」








「こんにちは。そんなに悔しそうにして、何考えてたの???」








あいつはそぉゃって現れた。






「……。」







当然私はシカトした。









「僕の名前は田辺 勇人(タナベ ユウト)。君に写真のモデルになって欲しいんだけど。」














はぁっ?!?!?!