ズズッ、ズズッ、ズズッ、

「何だよ。」

スイッチに手をのせてある。付

けよう。指に少しずつ力を入れ

ていった。音は近付いてくる。

手は汗でびっしょりになってい

る。


カチッ


電気をつけた。何もいない。

その時、奥の部屋、暗がりから

何か出てきた。

「あぁ。」

出て来たもの、それは髪の長い

女。すり足しながらこちらに近

付いてきた。その姿に僕は腰が

抜けてしまった。玄関から動け

ない、どうしよう。

女は僕の前で止まった。長い髪

の間から目をのぞかせていた。