「え、僕に?なんだろ」

『んなこと、俺が知るかってぇの。行けば解んだろ』

普段よりも、更に不機嫌な声である。

『それより、そこにミレイユいるだろ』

「は?…ああ、うん」

トヲルは、ちらっとミレイユの方を見た。

ミレイユはキョトンとした顔をして、こちらを見ている。当然コウヅキの声は、ミレイユには聞こえていないのだった。

「あ、もしかしてミレイユも、一緒に行った方がいいってこと?」

『違げーよ。ミレイユだったらトヲルと違って、今日中には確実に終わるだろうから、そのまま続けて作業していろ、だとさ』

「…そうなんだ」

やはり船長は、自分を信用していなかったのかと、トヲルは少し落ち込んだ。

『そういうことじゃなくて、だな。…お前、そこに二人きりでいて、ミレイユに変なことしてねぇだろうな』

「ヘン、な…?」

コウヅキの言っている意味が解らず、トヲルは眉を顰めた。

『もしお前が、ミレイユに手なんか出したりしたら、俺がぜってーブッ殺すからな!』

凄い形相でコウヅキが言ったと思ったら、モニターが一方的に切られてしまった。

残るは、宙に黒い画面が漂っているのみである。