「うっ、うるさいよコウヅキ!
ああ、そうさ。どうせ俺は、最初は金目当てで盗みに入っているうちに、段々とセキュリティ破りに快感を覚えるようになった、愚か者さ。
それにあれが俺にとっちゃ、お宝なんだよ。
だから何だよ。ゴードンの犬であるあんたには、関係ねぇだろが!」

逆ギレである。その上、両者の睨み合いは続く。

「…あーバカバカしい。ホント、どうでもいいや」

暫く経ってから、最初に目線を外したのは、コウヅキだった。

そして徐にバッグを自分の足下に引き寄せると、無言で中を物色し始めたのである。

その時、フィートが小さくガッツポーズをしたのを、トヲルは見逃さなかった。