「ほらよ。あんたの捜し物は、ここにあると思うぜ」

そう言うと、持っていたバッグを目の前のテーブルに、乱暴に置いた。

トヲルが開いているバッグの中を覗き込むと、ドアノブのようなものや、何か訳の分からない部品の一部、ぬいぐるみ、皿などの食器類…などなど、そういったものが乱雑に入っていた。

「何が働いてる、だ。お前のは、ただの空き巣じゃねぇか」

「えっ、空き巣!?」

トヲルは驚いて、聞き返した。

「しかもコイツ、解錠マニアで、難しいセキュリティシステムのある家とか金庫とかを破るのに、命掛けてるんだぜ」

「そ、そんなことねぇよ。確かにそういうのを破るのは楽しいけど…でも、ちゃんとお宝だって盗んで…」

何故か徐々に声が小さくなっていき、最後の方は何を言っているのか、聞き取れなかった。

「あのなぁ」

コウヅキは複雑な表情で、フィートに目を向ける。

「これの、ど・こ・が、お宝だっつぅのっ!ただのガラクタじゃねぇか!」

そう言って指差したのは、テーブルの上のバッグである。

「こんな価値のないもんばっか盗んで、金になるわけねぇだろうが。盗むんだったら、もっとマシなもん盗めよ。例えば、宝石や貴金属類とかさ」

(いや、そういう問題じゃないような気が…。泥棒は立派な犯罪だし)

なんとなく途中で口を挟み辛かったトヲルは、心の中でそっとツッコんだ。