トヲルはその一連の動作を、ただ目を丸くして見ていた。

とその時、左袖が引っ張られた。

下を見ると、年端も行かぬような子供が、トヲルの袖を掴んでいた。

「いらっしゃいませ」

そう言うと子供はトヲルを見上げ、邪気のない笑顔で笑いかけてきた。その愛らしさに少しドキッとしながら、つられてトヲルも、ぎこちない笑みを返す。

(お、女の子?)

10歳にも満たないような子供だった。

女性と同じようなピンク色で、フリルの付いているドレスを着ていた。少しウェーブのかかった腰まである栗色の髪で、頭にはチェック柄の可愛らしい、大きめなリボンも付いている。

「さあさあ、折角なのだから、お上がりになって」

そう言うと女性は、奥の部屋へと消えていった。コウヅキと、子供に袖を引かれるままに、トヲルも女性に続いて入っていく。