「ゲッ!?コウヅキ!」

男はそのまま後ろを振り返り、固まった。

コウヅキが背後からその男の肩を、強い力で掴んでいたのだ。

「な、何故ここがっ!?」

「フフフ…、お前の行動なんて、すべてお見通しなんだよ、フィート」

フィートと呼ばれたその男の顔は、苦痛で歪んでいた。コウヅキの手を振り解こうとするのだが、全くビクともしない。

「クソッ、逃げ切れたと、思ってたのに」

「アホがっ、逃げられるわけねぇだろうが。相手はあの、ゴードングループなんだぞ」

そう言うとコウヅキは、フィートの頭を軽く小突いた。

「ゴードン?…なんでゴードンが俺を?」

フィートは突然藻掻くのを止めると、コウヅキの顔をじっと見て、心外そうな顔をした。

「てかお前、ソレ知ってて、今まで逃げてたんじゃなかったのか?」

コウヅキは呆れたような顔をしている。

「だってコウヅキが、何か解らないけど追いかけてくるから。だからてっきり俺、何かヤバイことをしでかしたんじゃないかと思ってさ」

「ったく、紛らわしいんだよ」と言いながらコウヅキは、フィートの頭を殴った。

「…取り敢えず、だ。お前が盗んだモノを見せてみろ。まだココに置いてあって、何処にも売り払ったりしてないんだろ?」

フィートは渋々「わかったよ」と言うと、家の中へ入っていった。コウヅキも続いて入っていく。