赤茶けた長髪を後ろで一本に束ね、色白でかなり整った顔立ちをしている、細身の男である。外見だけで見ると、まるで童話から抜け出した「王子様」のような美青年だ。
(が…ガキって。僕もう21歳なんだけど)
トヲルはついこの前、街角で中学生に間違われた上に、更に中学生数人に喝上げされたばかりではあったのだが。
「さっさと帰るんだ!」
男はそう言うと、目の前に立っていたトヲルを突き飛ばした。
弾みで背中が後ろの手摺りにぶつかった。と同時に、パーカーのポケットから、仕舞っていた折り畳み果物ナイフが落ちる。地面に落ちた拍子に、刃の部分も飛び出していた。
「!お前っ、それで何するつもりだ!?」
その乾いた血がこびり付いたナイフを見て、男が迫ってくる。
「わ、わわわっ。な、何も…」
「ウソを付け!普通のガキがこんなもん、持ち歩くかっ」
(ひ〜!何でこうなるんだよぉ〜!)
心の中で泣きたくなった。
「よぉ。やっと出てきたな、フィート」
男の背後から、突然低い声が聞こえた。
(が…ガキって。僕もう21歳なんだけど)
トヲルはついこの前、街角で中学生に間違われた上に、更に中学生数人に喝上げされたばかりではあったのだが。
「さっさと帰るんだ!」
男はそう言うと、目の前に立っていたトヲルを突き飛ばした。
弾みで背中が後ろの手摺りにぶつかった。と同時に、パーカーのポケットから、仕舞っていた折り畳み果物ナイフが落ちる。地面に落ちた拍子に、刃の部分も飛び出していた。
「!お前っ、それで何するつもりだ!?」
その乾いた血がこびり付いたナイフを見て、男が迫ってくる。
「わ、わわわっ。な、何も…」
「ウソを付け!普通のガキがこんなもん、持ち歩くかっ」
(ひ〜!何でこうなるんだよぉ〜!)
心の中で泣きたくなった。
「よぉ。やっと出てきたな、フィート」
男の背後から、突然低い声が聞こえた。