トヲルは呆然とそれを見ていたが、すぐに我に返った。

「あの〜扉、開いちゃったんですけど…。やっぱり中に入ったほうがいいんですよね?」

『当たり前でち。今更、何言ってるでちか』

船長は当然のことのように言い放った。そしてトヲルはここで、初めて気が付いた。

(船長に扉が開いたことを言わなければ、こんなことをしなくてもよかったはずじゃ…?)

小型無人探査用ロボを一緒に連れてきていないため、船長からはトヲルの行動などは、一切見えていないはずである。しかしそのことに今頃気づいても、もう遅かった。

仕方なく覚悟を決め、身体を折り曲げながら、狭い扉の奥へと入っていった。

ライトを照らして辺りを見回してみると、そこは洞窟のような場所である。入口が狭い割には、天井はトヲルが立ち上がっても少し余裕があるようだ。