彼女の言う『コレ』というのは、ゲーム機の事ではない。

『Replicant・Lover’s-L』という商品名で廉価で売られている大量生産型アンドロイドである

俺のことだ。

ヨシダの視線が俺の横顔に向けられたのを感じた。

「うーん、こういうのが好きな人もいるんじゃない?」

「それって、マニア向けってこと?」

「そういうことでしょ?」

「買わない、買わない、こんなの絶対いらないって」

リッカが俺を指差し否定した。

彼女自身は、『絶対いらない』というこの俺をもう23回再生しているのだが。

彼女が俺に不満を持っているのはわかっている。

俺が主人である彼女の性的欲求を満たす行為を全く行わないからだ。