鼻をすする音で目が冷めた。
空はどんよりと曇っていて、この空間も自然に暗くなっている。

俺の眠るベッドの脇には、俺の読み掛けの小説を読んで涙を流す君がいた。

「あっ、ごめん。」

起きた俺に気付いて、鼻をすすりながら慌てて涙を拭いた。

「それ、感動した?まだ全然読めてないんだけど。」

「うーん………、イマイチかな。」

今の今までそれを読んで泣いていたくせに、眉をしかめて不服そうな顔をした。

「でも泣いてた。」

「泣かせる為に書いてるっぽいし、泣いてあげないと作者が可哀相でしょ。」

なんて得意気に言ってる。

「素直じゃないね。」

彼女の手からその小説を取り上げた。