その人が誰なのか私でもわかった。 信じられなかったけど嬉しくてまた泣きそうになった。 「帰ろっか。」 幸伸は笑顔で私に言った。 「…………なれるよ、王子様に…。」 「えっ?」 「そのお姫様はずっと王子様が迎えに来てくれること待ってたんだから。待ち過ぎて、少しひねくれ者になっちゃったけど…。」 私も立ち上がって、初めて自分から手を握った。 温くて、大きくて、何故か泣けた。