「大きくなったら僕は王子様になって、妙ちゃんを幸せにしてあげるよ。」
「ほんと?約束だよ?」
「うん、だから妙ちゃんはお姫様だね!」
二人だけの秘密基地。
泥だらけの小さな手で指切りをした。
川のせせらぎが心地よかった。
あれからもう13年という月日が流れて、私たちは大人とも子供とも言えない。
微妙な年頃になった。
未だにあのときの約束がふとしたときに頭を過ぎる。
アンタはもう忘れてしまったのかな?
私はそれでももしかしたらと、果たされるときを期待してしまうんだ。
アンタが王子様となって、私を迎えに来てくれることを…。