「龍矢君。指、出してごらん。」


「指?」


「美和ちゃん、ぎゅってしてくれるわよ。」


「ほんとー?」


俺は、恐る恐る手を差し出した。


自分より下の子供に触れるのは、初めてだったから。


緊張していたのかもしれない。


俺が手を差し出すと。


今まで、キョトンとしていた美和が。


急に笑顔になって。


嬉しそうに、俺の手を握った。


「笑った。見た?美和ちゃん、笑ったよ。」


「ほんとねー」


「珍しい。美和、初めて会う人にはあまり笑わないのよ。」


「じゃあ、龍ちゃん気に入ってもらえたのね。」