「知ってるのか?」


「あんま覚えてないけど、私が小さいとき、お母さんがここでお菓子作りの教室やってたような気がする。」


「そっか。」


「最近は、家でやることが多かったから、忘れてたけど。」


美和と一緒に、この中を歩いてみる。


お袋はどうしてここに行けと言ったんだ?


何となく、懐かしさを感じるのはなぜだ?


俺も、ここに来たことがあるのか?


思い出せそうで。


思い出せない。


ある場所まで来たとき。


急に記憶がフラッシュバックした。


「思いだした。」


「えっ?なに?」


「思いだした。お袋たちが、結婚の約束した理由。」