「違ったね。」


「ああ。よかったよ。」


そう言って、龍矢はため息をついた。


よかったって。


私もそう思ったけど。


「龍矢は、赤ちゃんいなくてホッとしてるの?」


「ああ。」


「それって、赤ちゃんいらないってこと?」


「バカ。誰もそんなこと言ってないだろ。」


私を抱きしめてきた。


「子供は欲しい。でも、今すぐってわけじゃない。」


「そうなの?」


「せっかく美和にやりたいことが出来たのに、それを潰すわけにはいかない。今は、自分のしたいこと、一生懸命やってほしいから。」


「うん。」


「それからでも、子供は遅くない。」