『大丈夫? 舞ちゃん? 』


『すみません春影さん。』

立ち上がろうとしたけど腰が抜けたのか力が入らない。


『うぅ...。』


『面倒くさい女だ。』


王子がため息をついてあたしに近寄り、その瞬間身体がふわっ、と浮いた。


『ぎゃあああ! 』


『なんだその声は? 耳障りだ...少し静かに出来ないのか? 今すぐ魂の鎖を切ってしまうぞ。』


眉を寄せる王子。


(だってこれ...お姫様だっこじゃんか! しかも...顔っ...近いっ! )


王子の匂い。


思いの外男らしい身体。


整った顔。


(心臓がっ...持ちませんっ。)