「きゃーやない。きゃーは、こっちのセリフや」


1人の教師もまた、自分の心臓が煩いことに気付く。


「なんや、初恋みたいやな」


ものすごいダッシュで、学校を出て行く1人の生徒を、優しい瞳で見つめた。









「あれ?景子ちゃん?」


学校を出たところで、由梨菜に会う。


「あ、由梨菜!どうしたの?」


「私、委員会の議題提出してきたの」



同じだーなんて、2人で笑いあう。



「ははーん。景子ちゃんの委員会は、沢田先生だもんねー」


ニヤリと意地悪に笑うと、私の腕を掴んだ。


「なーんか、イイコトあっちゃったりして」


「なにもないよっ!」


慌てて否定しても、顔は熱くなる。


「へっへー。そーんな赤い顔で否定されてもねー」


由梨菜は、私の背中をポンポンと叩く。






なんでだろう。


先生のことを考えると、ものすごく恥ずかしくて、ものすごく苦しくなる。


それが、恋なのは分かってる。


分かってるけど……。


誰かに恋をして、こんな気持ちになるのは、先生が初めて。





初めての

私の気持ち。



初めての

私の想い。



恋する私の、このキモチ

先生に対する、このキモチ





恋って、深いんだ。

誰かを好きになるって

いろんなキモチになるんだ。




「ねー景子ちゃん、これから取り調べね!新しく出来たファーストフード行こ!」


由梨菜に腕を引っ張られ、2人で笑った。




せんせ……


だーいすき。