「はい……」



「安藤のことです……」



紺野先生は、またビールを一口飲んだ。



「あの子がおばあちゃんと二人暮らしなのは知っていました。ですが……事情を知ったのは、2年生の終わりでした」



そうやったんや……



先生も、ビックリしたやろな……。



「だけど……俺は未熟です。なにかしたら、なにか言ったら、同情になってしまうと思って、結局何もしてやれない……」



悔しそうに、口元を歪める先生を、俺はただただ見つめていた。