「さ、先生……どうぞ」



ビールを注いだコップを、俺に差し出す先生。



なんか……物々交換みたいやな。



軽く乾杯をして、テレビを見ながらビールを飲んだ。



「カレーは出来ていますから。おつまみが少ないので……カレーだけでも召し上がってってくださいね」




そう言い残し、美和子さんは出勤した。



いい雰囲気やな……。



パタンと閉まるドアを見ながら、そんなことを思った。



「あの……沢田先生……少し、話をしてもいいですか?」



不意に紺野先生は、まっすぐに俺を見つめた。