「先生は……そんな人じゃないよ……」



私の言葉に、響子は目を丸くした。



「ほお……もう、そんなに知り合ったんだ」



「もう……やめようよぉ」



響子の背中を押しながら、次の授業の音楽の用意を持ち、音楽室に向かった。




「安藤さん、高橋さん、少し遅いわよ。ガールズトークもいいけど、授業には間に合うようにね」



チャイムと同時に入った私たちに、音楽の先生は人差し指を立てた。



「はーい」



ひろちゃんと呼んでいる、音楽の浩子先生。

30代半ばだけど、童顔のせいか20代に間違われる。


現に、私たちの話を聞いてくれて、すごく親身になってくれる先生。






「じゃあ、今日はグループ発表の練習をしてもらいます。それぞれグループに分かれて練習してください。でも、お喋りは、ほどほどにね。あ、安藤さんと高橋さんは、準備室に来てくれる?」



日誌を片手に、先生は手招きをした。