「喉渇いたやろ?これ飲みぃや」



俺はドキドキした気持ちを悟られないよう、平静を装って、スポーツドリンクを渡した。



「ありがとうございます」



安藤の細い指が、フワッと俺の手に触れた。



アカンて……



お前は小悪魔か……



「少し……楽になりました。2限目からは、授業に出ようと思います」



「今からならまだ間に合うで……。せやけど、無理はしたらアカンで」



ベッドから起き上がる安藤の背中を支えた。



「そのスポーツドリンクはプレゼントや。頑張りや」



にっこりと笑うと、安藤も微笑んだ。



出た!!!

必殺 微笑み返し!!!!



アカンわ……


完璧にハマってるやん……



「じゃあ……ありがとうございました」



スカートを払いながら、安藤は鞄を手に取り、保健室のドアを開けた。