「あの子……何か言ってました?」



紺野先生は、髪をかき上げながら困ったように微笑んだ。



「……えぇ。少しだけ」



「沢田先生なら大丈夫でしょうね。あの子は救われる」



「え……?」



「あの子は、いい子です。迷惑をかけることを、すごく気にする優しい子です」



せやろ……


めっちゃ優しい子や……。



「沢田先生……担任として、情けないとは思いますが……あの子を救ってくれませんか?」



「それは、分かってます。可愛い可愛い一生徒です……出来る限り」



俺がそう言うと、先生は立ち上がり俺の肩を掴んだ。