「私ね……小さい頃、パパ……あ、父が怖かった……」



「パパでかまへんよ。敬語もなしに、話してみてや」



先生は、ベッドの横に椅子を置いて座った。



「私のパパは、よくお酒を飲んでたみたいで……小さくて、あんまり覚えてなかったけど、気分屋で……パパの機嫌が悪いと、家の空気が悪くて……」



先生は「怖かったな」「嫌やな」と言いながら、優しく微笑んだ



「ママも、パパが居ない時は……」



「怖かったん?」



言葉に詰まった私の手を、先生はきゅっと握った。



「ある日……幼稚園みたいな所に……」



また溢れそうになる涙を、ぐっと飲み込んだ。