「僕はずるいね。沙羅も有紗も…。決められない。でも…」



「有紗さんと生きていくんでしょう?」



沙羅の声は震えていた。



「…あぁ。沙羅に言わないといけないことがある」



「…」



「有紗とイギリスに行くんだ」



「!?」



うそでしょ…。



「…今日出発なんだ」



今日…!?



「…早く空港行かないと…!!」



沙羅は立ち上がった。



「待って」



聖夜は沙羅の腕を掴んだ。



…聖夜と会えなくなっちゃうの?



…もう声を聞くことはできないの?



「最後に僕のワガママ聞いてくれる?」



「…何?」



神様、もう少しだけ夢を見さして下さい。



もう少しだけ聖夜と一緒にいたいの…。