「あのさ……この前はごめん。俺、真奈瀬が何も相談してくれなかったのが悔しかったっていうか……男では一番仲が良いと思ってたから、そういうの寂しいじゃん。勝手かもしれないけど……」

「……ううん。私も、ごめんね。あの後、お姉ちゃんに怒られたんだ。」

「は?何で真奈瀬が怒られなきゃなんないんだよ。」

「その、私にも非があったから……好きな人、なんて居ないのに……」



 ――え、マジで。何だよ、じゃあ俺にもチャンスあるじゃん。そう思った時、真奈瀬がポツリと口にした。



「……何か美隼、どんどんお仕事忙しくなっちゃうね。」

「いや、一応一段落したよ?今週はフルで通えるんじゃないかな。」

「そっか……何か、このままずっと会えなくなっちゃうんじゃないかって思っちゃった。」



 “近所に住んでるのにおかしいよね”と儚げに笑う真奈瀬に、胸が締め付けられる。そんなこと言われたら嬉しいだろ、バカ。

 ――やっぱり俺、こいつが好きだ。



「……あのなぁ。前から学校行ける日は、なるべくお前と一緒に登下校するようにしてるじゃん。それはこれからも変わんないから。」



 だから、そんな顔をする必要はない。そう伝えたら、みるみる真奈瀬の表情が変わっていく。久し振りの笑顔は、いつもより特別可愛く思えた。