翌日は、雲一つない快晴。気温は40度近くまで上がるだろうと、テレビの気象予報士が言っていた。

 この前、真奈瀬から逃げるみたいに帰ってきたのはマズかったよな……謝ったら、許してくれるんだろうか。そう思いながら、石川家のインターホンを鳴らした。



「……あら美隼君、おはよう!お仕事落ち着いたのね。」

「うん、一応ね。真奈瀬、まだ寝てる?」

「あぁ……それが、最近睡眠不足みたいでね。やけに朝早く起きたり、早めに布団に入ったりして、ちょっと変なのよ。」



 “美隼君が迎えに来ないのが寂しかったんじゃないか”と笑うおばさんに、小さく笑みを洩らす。ないよ、それは。だってあいつ、好きな奴居るし。そいつに会いに学校行くの、楽しみにしてない筈ないだろ。

 ――なんて、な。おばさんが言った通りなら良いのに、なんて思った自分を、心の中で嗤(わら)った。



「……真奈瀬、入るぞ。」

「……美隼?」



 ノックなんて今更だ。部屋に入ると、制服を着て勉強机の所でうなだれている幼なじみが見えた。

 おばさんが言ったように、確かに異様な光景だ。俺が起こすまで起きないことが多かったのに、もう身支度が終わってるなんて。もしかして、俺がこの前冷たくしたせいかな……謝らなきゃ、な。