「そんなの簡単じゃない!応援したくないんでしょ?なら、しなきゃ良いんだよ。」

「……え?」

「幼なじみだろうと家族だろうと親友だろうと、絶対応援しなきゃいけないって法律はないでしょ?美隼君がその子を好きなら、ぶつかってみれば良いんだよ。まだフラれた訳じゃないんだし。」



 幼なじみの気持ちが、これから変わるかもしれないし。そう言って渡されたのは、今日撮った何枚ものスナップの一つだった。

 よく見て欲しいと言われて、すぐに分かった。“見守る”だなんて言葉は、所詮は建前だったんだって。

 俺の本音は、レンズに見透かされてた。写真には心の迷いが写っていて、“諦めたくない”って気持ちが見え隠れしている。



「……答えはとっくに出てたんだな。」

「そういうこと!立ち位置は確かに難しいだろうけど、頑張ってね!」



 背中を叩かれて、休憩所を後にする。梅雨時の湿気のような鬱陶しさは、もう俺につきまとわない。

 明日から学校に行ける日が増えるから、真奈瀬と居る時間を少しでも長くしたいんだけど。こればっかりは、自分でどうにかしないとな。