金山が笑うと、人懐っこそうな八重歯が覗く。奴は部で唯一、オレの退部を反対していた奴だ。もしかして、どんな形であれ、オレとの試合を楽しみにしてくれていたのだろうか。そう思ったら、何だか胸が熱くなった。
「……そうだな。」
ようやく、それだけ返すことができた。ふと気付けば、コートの周りにはちょっとしたギャラリーができている。バスケ担当の先生が「よーしお前ら!ちゃっちゃと優勝争いの決着付けちまえ!!」と口にしたのをきっかけに、観客は大盛り上がり。ブザーの音を合図に、最終決戦が幕を開けた。
――例えるなら、テニスのラリーの応酬。こちらが点を入れれば、向こうもすぐに返してくる。何度シュートを決めても埒が明かない。引き離すことも引き離されることもなく、ピタリとくっついたままの得点で試合は進む。
声援が、次第に聞こえなくなっていった。ドラマが起きないことはある意味ドラマなのだろうが、これではまるで、オレ達がサスペンス映画の登場人物のようじゃないか。応援の声を殺して試合の成り行きを見守られるのは、多分これが初めてだ。
休憩をはさみ、得点板を見る。依然として、引き離すことができていないスコア。溜め息が洩れそうになるのを懸命に堪えた。
「……そうだな。」
ようやく、それだけ返すことができた。ふと気付けば、コートの周りにはちょっとしたギャラリーができている。バスケ担当の先生が「よーしお前ら!ちゃっちゃと優勝争いの決着付けちまえ!!」と口にしたのをきっかけに、観客は大盛り上がり。ブザーの音を合図に、最終決戦が幕を開けた。
――例えるなら、テニスのラリーの応酬。こちらが点を入れれば、向こうもすぐに返してくる。何度シュートを決めても埒が明かない。引き離すことも引き離されることもなく、ピタリとくっついたままの得点で試合は進む。
声援が、次第に聞こえなくなっていった。ドラマが起きないことはある意味ドラマなのだろうが、これではまるで、オレ達がサスペンス映画の登場人物のようじゃないか。応援の声を殺して試合の成り行きを見守られるのは、多分これが初めてだ。
休憩をはさみ、得点板を見る。依然として、引き離すことができていないスコア。溜め息が洩れそうになるのを懸命に堪えた。