朝の一件のせいで、苛々した気持ちのまま放課後を迎えた。比奈子ちゃんといい、その他大勢の女子といい、女装姿に食い付いてくる男子共といい……全然興味はないし、鬱陶しい。俺がずっと見ていたいのは、昔から“あいつ”だけなんだから。
「……真奈瀬、帰るぞ。」
ざわつく隣のクラスの連中を無視して、ドアの所から幼なじみを呼ぶ。りっことれみちゃんと話していた彼女は、一瞬肩を強張らせた後、ゆっくりと俺に視線をよこした。
「帰る約束なんかしてないんだけど……」
「帰るっつったら帰るんだよ。おばさんに頼まれてんの。」
母親の話題を出したら効果てきめんで、真奈瀬は素直に俺の後をついてきた。周りの奴らも特に疑わず、「じゃあな美隼、石川ちゃん!」と挨拶してくれる。俺は軽く手を振って、言葉に代えた。
不意に強い視線を感じたと思ったら、友達と話しながらもこっちを見つめている比奈子ちゃんだった。不敵に笑う口元と、何やら自信に満ちた瞳。“意気地なし”と言われているようで、とても舌打ちしたい気分になった。まぁ、すぐ近くに真奈瀬が居るから、我慢したんだけどね。
「……真奈瀬、帰るぞ。」
ざわつく隣のクラスの連中を無視して、ドアの所から幼なじみを呼ぶ。りっことれみちゃんと話していた彼女は、一瞬肩を強張らせた後、ゆっくりと俺に視線をよこした。
「帰る約束なんかしてないんだけど……」
「帰るっつったら帰るんだよ。おばさんに頼まれてんの。」
母親の話題を出したら効果てきめんで、真奈瀬は素直に俺の後をついてきた。周りの奴らも特に疑わず、「じゃあな美隼、石川ちゃん!」と挨拶してくれる。俺は軽く手を振って、言葉に代えた。
不意に強い視線を感じたと思ったら、友達と話しながらもこっちを見つめている比奈子ちゃんだった。不敵に笑う口元と、何やら自信に満ちた瞳。“意気地なし”と言われているようで、とても舌打ちしたい気分になった。まぁ、すぐ近くに真奈瀬が居るから、我慢したんだけどね。