「……佐桜花さん、何かあったんですか？最近、溜め息の回数が多いような気がするんだけど……」



　あたしの体がなまっているんじゃないかと、バッティングセンターに誘ってくれた竜泉君。並んでバットを振っていると、彼がふと聞いてきた。

　分かる人には、分かるものなんだ……彼氏にこんな話をするのもどうかと思ったんだけど、と切り出して、あたしは竜泉君に打ち明けた。今まで友達だと思っていた人が、どうやらあたしのことが好きらしい。竜泉君の悪口らしきことを言われて、ついカッとなって、強い口調で怒ってしまった。仲直りがしたいんだけど、どうすれば良いのか……竜泉君は、とても真剣に話を聞いてくれた。



「そうだったんだ……勇気がいるかもしれないけど、佐桜花さんはその人と仲直りがしたいんですよね？」

「うん。大事な友達だもん。」

「それをしっかり話せば、きっと大丈夫ですよ。相手も分かってくれます。」



　まずは、あたしから挨拶してみないことには始まらない。そう言われて、大きく頷いた。

　逃げてちゃダメだ。高須賀は大切な友達の一人だから、このまま気まずいなんて嫌だ。明日の放課後にでも、話しかけてみよう。あたしはそう決意した。