「オレは、剣の腕を磨いて、幕末の志士
 みたいになりたいんだ。
 土方(ひじかた)とか、新撰組も
 いいよね」

そう夢を語る東の目は、透き通るように
奇麗で、ふだん物静かな少年らしいだけ
に、その控えめな笑顔はとても素敵だと
ネコガールには思われて、

いい子だなあ、と感銘を受けたネコガー
ルは、東の彼女だという誰かを、ふと
うらやましく感じてしまった。

3人はそのようにしてだらだらと、飲ん
だり、チョコレートやマタタビスナック
をつまんだりしておしゃべりしていたが、

ナンは宮城のことなど初めからなかった
かのように、その件については全く触れ
なかった。

それはネコガールにはありがたいこと
だったのだが、だんだん東と同じ部屋に
いるのが耐え難く感じてきたネコガール
は、21時ごろ、そろそろ帰るねと立ち
上がり、赤いコートを羽織った。

泊まっていってもいいのに、というナン
に、別段の用もないのに、明日ちょっと
用事があるから、と言って部屋を出る
ネコガール。