あ。いかん。
血管が。
「ださくて悪かったですね……」
「おわ、ちょ、馬鹿!かんべん!」
あたしはあろうことか傍にあったクレーンゲームをそのまま持ち上げ、陽日輝に投げようとした。
必死に謝る陽日輝。
ええ、あたしは怪力ですけど何か。
明るくて元気な恋叶(かれん)。
大人しいけど優しい爽楽(さら)。
ナルシストキャラの偉月(たける)。
そして馬鹿で意地悪な陽日輝(ひかる)。
以上が、あたしの幼なじみ。小さいころからずっといっしょで、みんな仲良し。
しかも腐れ縁なのか、小・中学校はずっと全員クラスが同じなのだ。
そして今日もいつもの5人で学校帰りにゲームセンターへ寄っていた。
この5人で過ごす時間は、はっきり言って楽しくて仕方がない。
───そう。
あくまであたしたちは
・・・・・・
おさななじみ。
そこに恋愛感情は一切存在していない。
否、存在しては
・・・・・・
いけないのだ。
あぁ。そんなことよりも。
あたしは物欲しそうな目でクレーンゲームの中身を見つめた。