一人で納得して満足そうに目を輝かせている芽衣に焦点を集める。
白い首筋に薄く青く浮かぶ血管が肌の脆さを表しているようで、噛み付きたくなった。

「華原は小さい頃から可愛かった?」

「うん。すっごい可愛かったよ。ま、今のほうが可愛いけどね!」

大きく頷いて、ふざけて笑う。
その笑顔に違和感を覚えて、見上げてくる黒目がちな瞳を覗き込んだ。

「なに?」

絢人の影が芽衣を覆った。飲み込まれそうな錯覚。
無意識のうちに芽衣が絡んだ指に力を込めるが、絢人の甘い低音は呆気なく鼓膜を揺らした。

「その頃は、欲しいもの欲しいって、ちゃんと言えてた?」

透明なレンズの向こうから探るように見つめられ、瞬く。黒目が潤んで、それでも気丈に見上げてくるのが健気だった。

「ねぇ、教えてよ。俺と友達になりたいんじゃないの?友達同士って、隠し事したらいけないんだよね」

追い詰める気はないのに、言葉が止まってくれなかった。
繋がった手から、するり。滑らかな肌が逃げていく。

「華原?」

芽衣は振り向かない。華奢な背中を向けたまま、その場にしゃがみ込んだ。