「えー、これから始まる―・・・」

『やっぱ始まっ
「シー、声でかい」


案の定?
いや、これは想定外だった。
入学式に間に合わなかった・・・。

『お前が怖い怖い言うから遅くなったなんだろ』
「はぁ?あんた話しかけなかったら間に合ってたし」
『俺がチャリに乗せなかったら今頃どうなってたか・・・』
「無事入学式に間に合ってたねーっ」
『可愛げのねー奴。もう知るか』

海斗は胸のポケットから
タバコをとりだした。

「げ・・何タバコ吸ってんの?」
『開き直り~』

ふーと言って
あたしに煙を吹っかけた。

「ちょ・・けむいから」
『チャリ乗せてもらったのに嫌味言われた罰』
「もー。先生に見つかったらど

『君たち・・・何してるのかな?』

体育館裏で話していたあたしたちの前に現れたのは・・・先生ではなく、【入学式責任者】
と言うバッチをつけた男の先輩だった。

「うげ・・・言わんこっちゃない」
『しかもそっちの君、校内で未成年の分際でタバコか』
『・・・悪いっすか?』
『悪いに決まってんだろ』

―バチバチバチ―

あたしには、
2人の視線の交点で火花が見えた。



* * * *




『この馬鹿どもが~』

入学式後、
生徒指導部に呼ばれたあたしたち。
・・入学早々説教です。

『入学式はサボる。煙草は吸う。何様だよまったく』
『・・・天下の海斗様だよ』
『うるさいこのっ』

海斗の頭に向かった先生の手は
みごとな音を立てて命中した。

『あー、何だっけ・・・矢崎。お前は教室戻っていい』
「え・・あ、はい。」

やった。ラッキー!
海斗はと言うと「覚えとけ」的な視線で
あたしをガン見していた。
その返事としてあたしは「おさきに失礼」と余裕の笑みを返した。