あたし、矢崎明里は
無事志望校の桜坂高に合格し
今日から晴れて高校生になる。
ダサかった中学の制服と
恥ずかしい黒髪、スッピンに
別れをつげ、茶パにメイクと、
いい感じに高校デビューを
はたしたわけで。

鏡の前に立つ自分を
満足げに眺めていたとき

「明里ー、時間時間!」

リビングから叫ぶお母さんの声にハっとした。
おっと・・・初日から遅刻はやばい。
急いで部屋をとび出した。

「お、明里も高校生かー」
「いーでしょ?似合う?」
「まーねぇ」

そお言ってココアを飲んでいるのは
姉の春香。
春香は文字通り春に生まれで
可愛いし優しい
この春から大学生だ。

「いーねぇ高校生は、花があって」
「春香も大学がんばってねー」
「あいよー。てか、明里時間!」

あ・・・っとそうだった
時計はすでに、登校時間の
15分前を指していた。

「あー、もう春香のばかっ。行って来ます」
「あたしのせ


―バタン


春香の言葉を聞き終わる前に
勢いよくドアを閉めた。
・・・春香の小言に付き合ってる暇はない。
あたしは走ってバス停に向かった。