五月蠅いくらい忙しく鳴き続ける蝉。
真夏の太陽はギラギラと輝き、地面を熱く照らす。
新太が転校してようやく一ヶ月がたつが、友達がいるどころか、いつも一人だ。
「あの、岡崎くん…。」
隣の席のまどかは新太に一生懸命話し掛ける。
あまりのしつこさに、新太は少しずつ話すようになった。
「次、数学でしょ?あの…教科書忘れちゃって…。」
まどかは恐る恐る新太に言う。
怪訝な顔で新太はまどかを見てため息をつく。
「教科書忘れるって、何しに学校きてんの?」
そう言われては言い返すことばもない。
まどかは諦めて大人しく席に着いた。