「おぃい…泣くなよ~…」

焦った表情で狼が言う

「どうしよう…戻れなくなったら…、もう皆に会えなくなったら…」

「おいおい…そんなに落ち込むことないだろ?同じ世界にいるんだし…」

「時代が違うのよ!」

私は彼をキッと睨んだ

八つ当たりは最悪だけど、そうでもしないと気持ちが落ち着かなかった


「…俺バカだからあんまわかんないけど、ここはおまえの住むべきとこじゃないんだな?」


「~っ…、もうやだ…」

「しっかたねぇな、俺がおまえをもとの世界に戻れるよう手伝ってやるからそんなに泣くなよな」


「……本当?」

「俺は嘘つかねぇ!」

ピクピクと耳を動かしながら、自慢げに胸をドンッとたたく

「…でも戻る方法わかんないし」


「あ、そっか」

本当にバカだ…

頼りないけど側に誰かがいてくれるだけでも、今は嬉しいよ


「そうだ!兄に聞いてみよう!」

「お兄さん?」


「都にすんでんだ、行くぞ!」