「だが、あの食魔境の出没により自然環境に配慮する余裕がなくなってきた」
おじいさんは急に顔を曇らせる
「俺らがどうにかするから、じーさん達は安心してろよ!」
すっかり機嫌が直った狼が自信満々に胸を叩いて言った
「本当に任せられるのか?」
おじいさんは今度は真剣な顔になって、狼、孤白、私と順に目を見ていく
「ああ!大丈夫だ!任せとけ」
狼が二カッと笑う
「ここまで来たものは仕方がないだろう。面倒だが手伝う他あるまい」
孤白もしぶしぶ頷く
「そこの娘さんは?」
既に私たちと同じ大きさになっているおじいさんの真直ぐな瞳を見つめる
「…いいですよ。もう決まった事ですし、とことん付き合います」
きっと顔は強張っていただろうが、必死に喉の奥から声をしぼりだした
「ゴメンな、椎愛…」
狼が私を見つめる
「別にいいよ、いざとなったら狼に助けもらうんだから」
そう言うと、狼は笑った
「おう!」