『どこまで逃げる…?我らからはもう逃げれんぞ』

すると狼は走る速度を緩めた

「逃げる?バーカ、突っ切るんだよ。これぞまさしく強行突破」


『!?なっ!!』

急に狼は走る方向を変えて、影となった狐に向かって走り出した

「いひひひっ」

ダンッと勢いをつけて地面を蹴り飛ばし、私を抱えているのも気にしていないぐらい軽やかに飛んだ


……飛んだ!?

狐を踏み付けて、狐の後ろへ回った

『しまった…!!』

「お遊びは終わりだよ、俺らを狙ったことをせいぜい後悔しな」


狼は長い爪を振りかざした

狐の目が一瞬穏やかになった

そして微笑み、目をつむった

「待って…!!!」

私は狼の手にしがみついた

狼はびっくりして動きを止めた

「…なんだ?」

「その狐の目、まだ生きてる!」

「目が生きてる…?」