「気前が良かったのはそういうわけだったんだな、どうりでタダなわけだ」

「でも…どうするの?」

「こんなだったらもう用はない、さっさとずらかるぞ」

「どうやって?」


すると彼はニヤっと笑って言った


「強行突破だ」

「え!?」

止める間も無く狼はガラリと障子をためらいなく開けた

『なっ!!貴様ら逃げるきか!?皆のものであえーっ』

1人の人間が発した声により、木も石ころもすべて狐にかわった

「何この量ー!!」

どこもかしこも狐ばかりで、周りをいっきに囲まれた

「どうすんのよバカ~!!」

私はポコポコと狼を叩いた


『若いおなごの血潮じゃー!!逃がすものか!皆のものかかれ!!』

すると狼がペロッと余裕そうに唇を舐めると、私を抱えた

「つかまっとけよ」


すると爪が急激に伸びて、そのままぐるりと一回転した


‐ビシャッ‐

顔に真っ赤な血が飛び散る

目の前が赤く染まる

そして肉の破片が散らばり、周りは死体でうめつくされた


「ひっ!!?」

狼、今爪で狐を切った!?

「俺の爪は丈夫なんでね、殺るならとっとと殺りあおうじゃん」

さっきの余裕はそこからきていたのか…なんか楽しんでいるように見える