「狐?」
「かなり臭い、だがそんな文句は言えないしな。なんせタダで泊めてもらってんだからな」
「……」
全然わかんないんだけどな…
「とにかく寝るぞ」
そう言って、狼は布団を引き始めた
「手伝うよ」
「当たり前だ」
そんな何気ない会話をしながら布団をしいて、ゆっくり眠りについた
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――――――…
――――…
『今晩はご馳走だ』
『ああ、たらふくどすえ』
夜中、誰かの話し声が障子の向こうからコソコソ聞こえてきた
何の事だろう?
『人間2人なんか久しいのぅ』
『だが1人は耳と尻尾が生えていたぞ、もしかすれば半妖かもしれぬ』
『どちらにせよ、食すのみ』
……!!?
もしかして私達の事?
『さてと、我らは刃先を研ぎに行って参りますぞ』
『見張りは任せるがよい』
そんな会話が筒抜けで、私は今までにない恐怖を感じていた
今にも叫びたい
「……んぐっ!!」
「しーっ…黙って」
狼が起きて私の口をふさいでいた