「あら、いらっしゃいませぇ~。ようこそおいでやす」

めちゃくちゃ美人な女の人が、どこかの方言のようになまりながら言った


「お客さんは何名どすえ?」

なんか京都の方言にすごく似てる

「2名で」

私が答えるより先に、狼が答えた

「あらあら、めんこい新婚さんどすえ。今回料金はタダにしときますね」

し…新婚さん!?

違うから!!

狼はそんなことより、料金がタダということに目を輝かせていた

「どうぞ~、奥の部屋に案内するどす」

私は狼と一緒に、この方が案内する部屋に歩いていった

「ごゆるりと~」

そう言って、障子をゆっくりしめた


「な…なんか美人さんだったね」

「まぁな」


狼はやっぱりそんなことより、部屋の豪華さに喜んでいた


「でもなぁ~」

「なに?」

「ここ、すごい臭い」

狼がそう言うので、私はくんっと臭いを嗅いだけど全然わからなかった

「何の臭いなの?」

「狐【キツネ】臭い」